一期一会のデザイン思考

一期一会のデザイン思考

デザインとは、未来のデキゴトを企てること、
あるいは過去のデキゴトを企てなおすこと。
未来と過去をカタチづくるためにデザイナーは
「今、此処」に自分の感覚を研ぎすませます。
TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアが
時間と空間を越える今。
もう一度、「今、此処を生きる」感覚を考え直してみる
というのが今回のテーマです。
舞台は、明治の中頃より100年以上江戸焼の鰻料理屋として
歴史を刻んだ老舗「現長」。
閉店から3年。今もその建物は淀屋橋の地にあります。
言葉では言い表せない繊細な味と香り、
一緒に食べた人との情景は秘伝のタレと共に、
訪れた人々の記憶の中に刻まれていることでしょう。


Special Guest

上田信行(うえだのぶゆき)

Learning Artist / neomusem館長 /
同志社女子大学現代社会学部現代こども学科教授



「一行一会」

子どものころ、たった一冊の絵本を、何度も何度も読み返していました。
ある日の気分では、その一冊は勇気をくれて、
ある日の気分では、その一冊からやさしさを教えられ…。
たった一冊、たった一行の奥に秘められたいくつものメッセージを、
子どもは読み取る力を持っています。
そしてその一行を、誰か大切な人に伝える心を持っています。

膨大な情報を処理しなければならない今、
ふと、あなたの本棚の中から、
“たった一冊の本”を手にとってみてください。
一冊のたくさんのメッセージの中から、
“たった一行の文”に焦点をあててみてください。

それは、あなたにとって、影響を与えてくれたことば。
誰かに伝えたくなることば。
何度も何度もかみしめたくなることば。
あなたの膨大な知識や経験、価値観、哲学が、
その一行にギュッと凝縮されるかもしれません。

一行一会は、「引き算」のプロセスから、
「ほんとうに大切なこと」を見つける愉しみです。
俳句や日本画のように、
日本人は古来より「引き算」されたものから、
「全体を想う」愉しみを知っています。

それは私たち日本人の美学であり、コミュニケーションであり、
そして現代も「デザイン」という形で息づいています。
余りある「情報」をそぎ落としてこそ、
感性のアンテナが磨かれるのかもしれません。

一行一会は、「いま、ここ」に集う人たちの、
「あなたの一行」と「あの人の一行」の交わりにより、
新たな視点を見つけ出すサロンです。

持ち寄るのは「一行」。
けっして「プロフィールの交換」とは違う、
豊かな対話をお愉しみいただけます。
膨大な情報の中から、「ほんとうに伝えたい一行」を見つけるよろこび。
伝えられた一行から、豊かな世界を広げるたのしみ。
「無」の中から、五感のアンテナをいっぱいに広げ、
知的で創造性に満ちた、上質なひとときをお過しください。


Guest Plofile

Nobuyuki Ueda

Learning Artist / neomusem館長 / 同志社女子大学現代社会学部現代こども学科教授

ハーバード大学教育大学院で、セサミストリート研究を通して 革新的ラーニングメディア開発のためのリサーチ・メソッドを学ぶ。 その後、認知的動機づけ理論の研究者Carol S. Dweckのもとで、 子どもの知能観に関する研究で、Ed.D.(教育学博士号)を取得。 1990年に「ラーニングアート」のための実験空間としてネオミュージアムを創設し、 数多くの学びに関するワークショップやラーニングカフェ、アンカンファレンス、 MIT Media Labライフロングキンダーガーテングループでクリエイティブシンカーの研究を行うなど、 先進的な技術とプレイフルな学びを掛け合わせた実践的研究を行っている。 主な著書に、『プレイフル・シンキング』宣伝会議『プレイフル・ラーニング』三省堂などがある。

undesignの企画では、いつも素晴らしい助言をいただいています。
vol.1では主催者側として関わっていただき、
学びとデザインの「これから」ともいえるお話をたくさんしていただきました。

さらにvol.2、vol.3ではゲストでご参加いただきました。