価値創造の場としてのサロン

 

誰もが文化の作り手として、インフォーマルに対話をひろげる場=サロンが、自身と社会を変えていく。プレゼンテーションでもなく、セミナーでもなく、ワークショップにもない可能性をサロンは秘めています。

サロンはその歴史を辿ってみても、多様な人たちが集まり、新たな価値創造のためのプラットフォームであったと言えます。サロンの場においても、私たちから情報発信や問いを投げかけることはあっても、教えたり強要することはありません。なぜなら教える側と教えられる側(知っている者と知らない者)という関係ではなく、互いがリスペクトしあい、フラットな関係で話し、つながることが何よりも個人の学びを広げ、かつ創発的なイノベーションを生み出していく可能性が高まることを私たちは心底知っているからです。


答えなきデザイン思考(undesign thinking)

 

情報が溢れかえるこの時代に、人と人、人とモノの関係性をつなぎ新しい価値を創造する「デザイン思考(Design Thinking)」がビジネスの世界において注目を集めています。

デザイン思考は、IDEOの創始者であるトム・ケリーはじめとする様々な方がその考え方と方法論を述べていますが、どれも実践の中から出てきた方法論であり正解があるわけではありません。実際のデザインの現場では多種多様な問題に、あの手この手のアプローチで、混沌とした中から解決策を導きだします。よりよいものを生み出すために「学び」、よりよい世界をつくるために「デザインする」。毎度毎度がチャレンジの連続であり発見の連続でもあります。undesignでは、実際のデザインの現場から導き出された実践知と長年にわたって行われてきた学習環境デザイン研究の観点を織り交ぜ、「デザイン思考」そのものを捉えなおし、常に模索を続けています。

 

 

デザイン思考からデザイン体質へ

 

undesignが目指すのは、誰もが学び、誰もが企てる「デザイン思考」の日常化であり、あらゆる人が自然とスマートにデザイン思考する「デザイン体質」になること。デザイン体質とは、心なく(mind-less)過ごしている日々から、心を取り戻し(mind-ful)、誰かとつながり、誰かのために「企てたい」と考え、誰かのために「やってみよう」と実践してみることです。

私たちが考える「デザイン思考」は、努力や根性の先にあるのではなく、元来、誰もが「やりたい」と考え、「とにかくやってみる」うちに身に付いていくものだという視点にたっています。つまり長年にわたり厳しい環境から身を守り、あらゆる問題を解決すべく知恵を出しあってきた人間の本能としての活動であるべきだということ。そうでなければ、我々にとって真の価値あるイノベーションなど生まれようがないからです。

 こうした本能に突き動かされ、つながりやすい接面を多く持つ「デザイン体質」の人々が集い、「undesign」という場が、人と人、文化と文化、技術と技術がつながり、新しい時代を切り拓くエネルギーの拠点となることを願っています。